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>太陽の祭典

 >>Carinaは夢をみる





■Carinaは夢をみる■





それはガニュメデスの神話にも似て…
carina1


イーリオスの光景は、おぼろながらに覚えてる。
緑に覆われたその平原で、羊を追っていたらしい。
一族の者たちの顔など、とうに忘れてしまった。

しかしどれ程の時間(とき)を経ようとも、今でも鮮明に思い出せる。
幼き日、アベル様に初めてお会いした時のことは。

哀しみを宿した少年神の瞳。
頑なに閉ざされたその小宇宙に触れることの出来るのは
…ただ妹神のみ。





新たな神話が始まる…
carina2


全天で2番目に明るい星を頂く竜骨座。
夜闇を焦がすシリウスの色は、冷たく凍れるような青。
コロナの聖闘士であるお前には似合わぬと。

太陽神となられたアベル様が、御自ら選ばれた3星座。
それがコロナの聖闘士の守護星。
一切の闇を寄せ付けぬ、陽炎に護られし輝ける聖衣。


名を呼ばれる度に、うち震える心。
“イーリオスの羊飼い”でも“アトラス・イーリオス”でもなく…
竜骨座(カリナ)アトラスとしてお仕え出来る慶びと誇らしさ。

強くなりたいーーーそう願った。
闘士として…アベル様を守護するコロナの聖闘士として。





暗転…
carina3


三界からの謂れなき干渉。
仕掛けられた巧妙な罠。
圧倒的な力で蹂躙された、神聖なるディグニティ・ヒル。

太陽神殿だけは何としても死守する。
アベル様には何人たりとも近づけさせぬ。
例え相手が神であろうとも………!





夢をみる…
carina4


全身に纏わりつく漆黒の闇。
冥府へと堕ちていくことだけを感じながら、
既に視覚を失った目を開ける。

地上をあまねく照らす日輪の暖かき光。
御身より離れしことが、唯一の心残り。

願わくば、いつの日にか再びの邂逅を。
竜骨座の宿世の下に。



作成日:120329
 再録日:130127

「Carinaは夢をみる」あとがき(別窓が開きます)



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